北海道ツーリングの思い出
先日夏の休暇を利用して北海道にツーリングへ行った。
何年も行こう行こうと思っていたが、無理にでも行かないとそのうち体力無くなって楽しめなくなると思いたって、割と無理矢理行った。
苫小牧港から日本海側を北上し宗谷岬へ、その後オホーツク海沿いから道東を回り、釧路や帯広など寄り道しつつ札幌まで戻り、また苫小牧から船で帰った。道内にいたのはザッと一週間ほど。
初めての北の大地
苫小牧港に降りた途端に当時の関東よりひんやりとした空気を感じて心が躍る。北海道を走ることは一種の憧れだったので、ただその土地を走っている事実だけで感動できた。9月後半だと夜は10度前後、朝方はさらに冷えた。冬装備があってよかった。
とにかく広く、長い道。スケールが本州とは圧倒的に異なる。そのおかげの開けた景色を見ることができ、明らかに普段見ている景色より空が広い。そして様々な天気が歓迎してくれる。どんな天気でも美しく、立体感のある空は北海道だからなのか。天気の変わり目、雨が上がってばらけ始めた厚い雲と晴れ間が重なり立体感のある空を見ながら走ったオロロンラインは泣けるほど美しかった。自分の走るアスファルトと左右に広がる草原と空、このような場所は日本には少ないと思う。極上の体験。
地図で見ていたより距離を感じる。人口が集まる地域間の距離が長く、だんだん100km圏内は近所に思えてくる。RPGのマップのようだった。だからかとにかく地元車のペースが速い。みな距離を速度で縮めている。
道ゆくライダーの大半は手を振ったり挨拶してくれ、孤独を感じる瞬間も多いツーリングを温めてくれる。ライダーにとって特別な土地であることがわかる。行く先々で同じ人と会うこともあり、お互い笑った。話し込んだ人も何人かいたが、一緒に走ることも、連絡先を交換することもなかった。これくらいの距離感が非常に気持ちが良い。またどこかで会えたらいいと思う。そして人だけでなく、たくさんの動物が迎えてくれる。鹿、リス、牛…熊には会わなくてよかった。
食事は何食べても美味かった。そして魚がデカい。中でも印象に残ったのもは普段居酒屋で見る倍ほどもあろう大きさのホッケ。峠越えで疲れた体によく効いた。
実際に見ることの強さ
北海道、オートバイツーリング雑誌では幾度となく各地の写真を見てきた中で、なんとなく知ってるとか行ったような気になっていたような気がするが、それは間違いだった。
実際に行くことは大事だ。
雑誌やネット記事では、真っ青な空の広がる、特に天気のいい、所謂理想的なシチュエーションの写真がよく見られた。しかし実際はそうはいかない。旅先の天気は生き物だ。
それが良かった。雑誌やネットでは見られない、自分しか知り得ない景色を見ることができた。前途のオロロンラインの空。霧に包まれた自然の強さを感じる知床峠。雨に降られながら見た陽光で照らされたオホーツク海。曇天の切れ目から覗く道東の夕陽。どれも記事では見られない北海道だった。
草原の馬鹿げた広さや道の長さ、北海道そのものの大きさもそうだ。あれは実際に見て走らないとわからなかった。言ってしまえば完全に北海道を舐めていた。想像していたよりはるかに大きく、豊かで、綺麗だった。
とてもたかが一週間で見切れるスケールではない。定期的に足を運ぶ人の気持ちが理解できた。得られたものはとても多い。
途中立ち寄ったお店で、美しい景色の未舗装路をたくさん教えてもらったので、次はオフロードバイクで来たい。